独立行政法人 国立病院機構 村山医療センター

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スタッフに聞く

お金と制度も リハビリテーションに関するご相談をお受けしております

植村 修(うえむら おさむ)
北多摩西部医療保健医療圏地域リハビリテーション支援センター 事務局長 
村山医療センター リハビリテーション科 医長


uemura 地域リハビリテーション支援センターとは、地域において様々な形態で実施されているリハビリテーション事業を支援し、地域におけるリハビリテーションのシステム化を推進することを目的として、二次保健医療圏ごとに東京都が指定する支援センターです。


治療はさておき、相談だけでも

聞き手:地域リハビリテーションセンターでは、さまざまな相談を受けつけていると聞いているのですが。相談するとそのまま村山医療センターで診療を受けるということになるのでしょうか?

植村:いいえ。必ずしも診療に直結するとは限りません。
身体面で言えば、治療やリハビリテーションによる訓練の相談をすることもありますが、それだけではありません。介助の方法、福祉用具の利用、住居改修など様々です。

聞き手:脳卒中で麻痺が残れば、麻痺とどのようにつきあっていくか・・・ということになるわけですが、身体面以外にも社会生活面、家族の支援、経済面など患者さんには課題が残りますね。

植村:そのとおりです。
医療制度は、患者さんのお金の負担とリンクしますから、リハビリテーションに取り組むために、制度の活用方法も相談にのります。

聞き手:身体面だけではなく、相談範囲が制度面までというのは驚きですね。

植村:医療制度がどんどん変わっています。介護保険の導入から、在宅で患者さんを診るようになってきたという背景があります。

今までは、治療が終わったら病院とはサヨナラ、そんなことでは患者さんのリハビリテーションは破綻してしまいます。そのためにも、元々別々だった医療と介護をどのようにつなげていくかを考えなくてはいけません。リハビリテーションの制度は複雑ですから、制度面からの相談も必要になりますね。

治療だけが病院の役割ではなくなってきているのです。

地域リハビリテーション支援センターの相談窓口はこちら。

気づかない病気のサイン

uemura植村:相談にこられて、病気の早期発見につながるケースもたくさんあります。

聞き手:ご本人が訴える症状で、気のせいなのか、それとも病気からきているものなのかよくわからないケースも多いのでしょうね。

植村:ご本人が訴える症状が何の疾患からきているか、これはご本人もわかりません。ですから、どんなことでも相談してもらってかまいません。

気のせいかも・・と思えることでも病気が隠れていることもあります。

こんなご家族からの相談がありました。

「お父さん、最近よだれが多いんです。」

ぼんやりしているから、よだれが多いのかもしれませんが・・・見逃してはいけないのは嚥下障害(えんげしょうがい)によってよだれが飲み込めないケースです。ちょっとした症状が隠れている病気を見つけ出すヒントになるのです。あと、むせる、タンが多いなども要注意ですね。

治療するだけではない、すべての疾患が対象

聞き手:リハビリテーション科は、他の診療科とは違うのではないでしょうか。

植村:はい。他の診療科のように病気を治療するだけではありません。

聞き手:では、リハビリテーションとはいったい何でしょう。

植村:リハビリテーションの語源は「ふたたび適応する」なんですよ。
どんなカタチであれ、病気、ケガによって障害を受けた人がもう一度社会生活にもどるための手段、方法を学習、もしくは導入していく医学です。

例えば心筋梗塞の後、心機能が悪くなり少し動いただけで息切れがする、疲れるなど。そのような方にどのような動きが適切で、どのようなことをすれば日常生活を送れるかを考えます。脳卒中後の麻痺、骨折、なども同様です。

このように、すべての疾患が対象となります。

聞き手:もう少し狭い範囲を想像していたのですが、すべての疾患が対象になるとは驚きました。

がんのリハビリテーション

uemura植村:リハビリテーションの解釈もどんどん拡がっています。最近の傾向としては、がんのリハビリテーションが注目をあびています。

聞き手:がんのリハビリテーションとはいったい何をするのですか?

植村:がんのリハビリテーションはすべてのリハビリテーションが集約されているような気がするんですね。

頭頸部(首から上の構造の総称)の腫瘍で飲み込みが悪くなった方にどのようにしたら食事を召し上がれるようになるかを診たり。乳がんは術後、リンパ浮腫をきたして手がむくんだりします。そのむくみを抑える方法を考えたり。手術で体力も奪われていますから全身の筋力も弱くなってしまいますので、体力維持というアプローチも行います。

どんな疾患でも何かしらの障害を起こします。

先ずそこにどのような障害が起きているかを診ます。次にその障害によってどのような日常生活がおくれなくなるかを把握し、そこにどのようなアプローチをしていくかを考えます。


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